集会では旧統一教会の元信者がこれまでの体験談を語り、自身も勧誘行為を行っていたと明かした。 「怒りと情けなさで嫌になる」ーー。こう締め括った元信者が語ったことは。 【「解散命令まで持っていくべき」旧統一教会巡り、弁護士らが声明文を発表】 元信者は中部地方に住む女性。2010年7月頃、玄関先で掃除をしていると、60歳代くらいの女性が訪ねてきた。 女性は明るくて品がある印象で、突然「家系に興味ある?」と聞かれた。 最初は断っていたが、何回か訪ねてきたことや、たまたま新聞広告で「家系図を学ぶ」といった趣旨の本の広告を見ていたこともあり、「家系図鑑定会」に行くことになった。 一方、女性は「家系を学ぶカルチャーセンターみたいなところから来た」と話し、「統一教会」という団体名や目的などは明かさなかった。
「長男の命に関わる」と恐怖を煽られ……
「小さい頃から先祖の大切さを教えられて育った」とし、なぜ先祖の供養が大切なのか、先祖供養をしないと子孫に大きな影響を与えるなどと話した。 講演後、「今日は特別に先生が四柱推命の鑑定をしてくれる」と言われ、講師に家族の生年月日なども伝えた。 講師は長男に悪い影響が出ると話し、「1月までになんとかしないと長男の命に関わる大変なことが起きる(当時は10月)」と恐怖を煽られた。 「ここで先祖を供養するために家系図を勉強してほしい」や「お母さんが頑張らないといけない」とも言われたという。
自身も勧誘を始めた
そこで「罪の告白」をすることになり、「罪の精算をするにはある人に全てを委ねなければならない」と言われ、そこで初めて旧統一教会の創始者である文鮮明氏の名前を明かされた。 自分が通ってきたのは統一教会だと認識したが、「正しいものは迫害される運命にある。信じられないのか」「学ばないと救われない」などと言われ、怖くて脱会できなかった。 そして、2013年から自身も「伝道者」として勧誘する立場になった。
「統一教会と明かさないように言われていた」
グループは複数あり、自分の家族や知人を引き入れるチームや、個別訪問で貯金や資産状況などを仕入れ、高額献金させるチームなどがあった。 マニュアルもあり、勧誘時には「統一教会」や「宗教の勧誘」と明かさず、むしろ「宗教と言ったら引いてしまう人が多いのではっきり言わないでほしい」とグループの信者から言われていたという。 目標を達成できなければ、反省文を書かされ、祈祷室で文鮮明夫妻の肖像画に数十回、数百回と礼拝をさせられたという。 元信者の女性は「今考えると詐欺集団の手下のようなことをやっていた。怒りと情けなさで嫌になる」と語った。 一方、家庭連合の田中富広会長は8月中旬に行った会見で「会員も国民として法を順守し、社会の一員として社会的責任を果たして生きている」と語った。