この日、「花王メリット」や「銀のさら」などの企業のTwitterアカウントが、カミングアウトデーの意味を理解せずにツイートし、批判が寄せられた。 花王メリットと銀のさらのTwitterアカウントは12日、ツイート内容について謝罪した。 その多くは「実は(弊社は)〇〇でした」というような、企業や商品に関する内容で、性的指向や性自認には全く関係のないものだった。 花王は「(メリットは)実はノンシリコンシャンプーなんですよ」とし、銀のさらのアカウントは「実はサンドイッチ店からはじまった」とツイートしていた。 そのような企業によるツイートに対しては、カミングアウトの経験がある当事者を含むTwitterユーザーから「カミングアウトは命がけでするものなのに…」「ネタやおふざけ、宣伝に使っていいハッシュタグではない」「言葉の重みを奪わないで」との批判が寄せられた。 批判を受け、花王メリットはTwitterで以下のように謝罪した。 《このたびは、「国際カミングアウトデー」を正しく理解せず、思慮に欠けた投稿をしたことについて、深くお詫び申し上げます。昨晩より多くのご意見をいただいており、それらを真摯に受け止め、社内の教育啓発を一層強化し、再発防止に取り組んでまいります。大変申し訳ございませんでした》 銀のさらは元ツイートを削除し、新たな投稿で「ハッシュタグに関する理解に欠け、不適切な投稿となってしまいご不快な思いをさせてしまったことを心からお詫び申し上げます」とし、再発防止に取り組むとした。 BuzzFeed Japan Newsは花王に取材を申し込み、「当事者らからも失望と落胆の声があがっていることに対しどう考えるか」などを質問したが、謝罪ツイートと同じ文言での回答があったのみだった。 銀のさらを運営する「ライドオンエクスプレスホールディングス」にも質問を送ったが、担当者は「個別回答は控えさせていただきます」とした。

「言い出せずに苦しんでいる人がいること知って」

「カミングアウト」とは、LGBTQの当事者が自分の性的指向や性自認を他者に打ち明けることを意味する。 今回、企業Twitterアカウントがハッシュタグを使った10月11日の「カミングアウトデー」では、カミングアウトする勇気をたたえ、自分らしく生きたいと願う人々を応援する意味を持つ。 10月11日にこの日が制定された背景には、LGBTQの当事者らが、差別や偏見と闘い声を上げてきた歴史がある。 米国の「ヒューマン・ライツ・キャンペーン」によると、1987年の10月11日に、ワシントンD.C.でレズビアンやゲイの当事者らがマーチを歩いた日を記念して、翌年の1988年に制定された。 今回の企業の誤用について、LGBTユースへの居場所作りやサポートなどの活動を行う遠藤まめたさんはBuzzFeed Newsの取材に対し「今も、自分の性的指向や性自認を言い出せずに苦しんでいる人がたくさんいることを忘れないでほしい」「カミングアウトデーの歴史を知ってほしい」と語った。

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