判決を受け、在日ミャンマー人と日本人の有志が外務省に対し10月17日、久保田さんやミャンマー人市民らの解放への働きかけを求める要請書を提出した。 外務省前には久保田さんの友人らが集まり、解放を求めて声をあげた。 岸田首相と林外務大臣に宛てられた要請書では、久保田さんをはじめ、アウンサンスーチー氏や「政治囚」として拘束されている人々の解放に向け、ミャンマーの軍評議会に働きかけることを求めた。 要請書を手渡した有志によると、外務省担当者は、市民への殺害を止め、久保田さんを始めとする現在拘束中の人々を釈放するようミャンマー軍政に求めている、日本政府の立場を説明。 そのうえで、久保田さんの健康状態に問題はないものの、解放の見通しなどは分かっていないと述べたという。 久保田さんはこれまでも十数回以上にわたりミャンマーに渡航し、民主化運動や「ロヒンギャ問題」などをテーマにドキュメンタリーを撮影していた。 久保田さんの解放を求めるオンライン署名には、6万筆以上が集まっている。 「クボタトオルさんを助けてください」と書かれたプラカードを持ち同日、外務省前の要請行動に参加した在日ミャンマー人の女性(36)は取材に対し、以下のように語った。 「久保田さんはデモを取材していただけ。撮影しただけで禁錮10年というのはありえないです。日本政府には、ミャンマー国軍に対して強い姿勢で抗議し、国連にも働きかけてほしい」 「(軍政下では)このような不当な逮捕、そして誤認逮捕などは本当に多くあります。強い姿勢で抗議しなければ、このような事件は繰り返されます」 女性ら要請行動への参加者は、外務省前で「久保田さん、スーチー氏と全ての政治囚を解放するよう圧力を」と叫んだ。 クーデター後、軍は、独裁に抗議し民主主義を求めるために声を上げた市民らを激しく弾圧。同人権団体によると、軍や警察により少なくとも2千人が殺害された。 国軍の地方の少数民族への攻撃はエスカレートしており、報道によると、9月にはミャンマー軍は北西部ザガインの学校を襲撃。12人の子どもを含む14人の死者が出た。 大けがを負った7歳の子どもはあまりの痛みに、「お母さん、痛いよ。殺して」と訴えていたという。
久保田さん「何が起こっているかを伝えるために現地に」
ミャンマーで取材中に昨年、逮捕されたジャーナリストの北角裕樹さんも要請行動に駆けつけ、以下のように話した。 「久保田さんは、ミャンマーで今何が起こっているかということを伝えるために現地に足を運びました」 「日本政府やミャンマーの日本大使館が久保田さんの解放に向けて全力で動いていると認識していますが、その動きを後押しするような声を上げていきたい」 北角さんは、在住していたミャンマーで昨年、取材中に逮捕され、約1ヶ月間にわたり当局に拘束され、一時は起訴されていた。 久保田さんは現在、北角さんが当時収容されていたインセイン刑務所に収容されている。