東京消防庁の管内では特に、電気ストーブや配線などの「電気設備」から出火した火災の割合が増えており、昨年は約1400件と過去10年で最多になった。 同庁は「小さな焦げ跡でも確認したら必ず119番通報してほしい。大きな火災になっていた可能性がある」としている。
人命にかかわる大きな火災に
火災自体は減少しているが、電気設備機器の火災は増加傾向にあり、昨年は全火災(3939件)の35%を占めた。 大半はぼやだが、全焼16件、半焼31件と大きな火災となったケースもあり、死者も18人(前年比4人増)出ている。 電気ストーブによる火災は過去10年間(2012〜21年)で897件発生。死者67人、負傷者379人を出しており、「人命にかかわる大きな火災」となっている。 では、電気ストーブがなぜ火災の原因となるのか。 897件のうち552件(61.5%)が「可燃物が接触する」だった。 内訳は、「布団・座布団・毛布・敷布・枕」が369件と最も多い。 ストーブの近くで就寝中に寝返りしたり、周辺に衣類を置いたりしたことなどで着火するケースが目立っている。 布団から炎が上がり、居住者は水をかけて初期消化したが、建物のぼや火災となった。 同庁は次のように注意を呼びかけている。
配線にも注意
昨年は451件(前年比74件増)発生しており、近年では初めて400件を超えた。 過去10年(2012〜21年)では計3486件発生。死者は66人だ。 特に、コードが家具の下敷きになって損傷し、短絡(ショート)したことで出火する「電線が短絡する」が1165件(33.4%)と最も多い。 そのほか、コンセント接続部の緩みで発火する「金属の接続部が加熱する」(1085件)、ほこりがコンセントとプラグの間にたまり、そこに湿気が加わることで発火する「トラッキング」(569件)などがある。
コードが冷蔵庫に踏みつけられ
火災は午後7時頃に共同住宅の8階居室で発生。冷蔵庫の電気コードが冷蔵庫自体に踏みつけられており、コードの絶縁が劣化・短絡して出火したという。 配線器具類から出火に対する対策は以下の8つだ。
東京消防庁は「小さな焦げ跡でも迷わずに119番して欲しい」と呼びかけている。